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宣伝担当者インタビュー VOL 3

セールス・オンデマンド株式会社 取締役 徳丸順一 さん  プロフィール

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主な経歴
1970年 名古屋市生まれ
デザイン系システム会社を経て、1996年電通ワンダーマン入社。IT・金融分野を中心とした、統合型マーケティングコミュニケーション、ダイレクトマーケティング、CRM等をAE・プランナーとして携わる。2004年からI&S BBDOにてコンシューマーグッズのマーケティング、及びラグジュアリーブランドのCRMに携わった後、2006年4月より現職でロボットクリーナーのパイオニア、アイロボットルンバの日本におけるマーケティング活動を推進している。
主な受賞暦
主な作品

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【今江】こちらの社長さんは電通のご出身と伺いましたが、徳丸さんご自身はどういうご経歴でいらっしゃるのですか?

【徳丸】私は新卒ではデザイン関係のシステム会社に就職しまして、26歳のときに電通ワンダーマンに転職しました。電通とワンダーマン・ワールドワイドの合弁会社です。ワンダーマン創設者のレスター・ワンダーマンは、今も90歳で現役ですが、売るためのコミュニケーションを追求し「ダイレクトマーケティング」という言葉を生み出した、「ダイレクトマーケティングの父」とよばれている人物です。電通ワンダーマンは日本でダイレクトマーケティングを推進すべく、1985年に設立されました。設立から10年間くらいは、ダイレクトレスポンスアドやダイレクトメール(DM)を作っている会社でしたが、私が入社した1996年というのは、とてもいい時期で、ちょうどインターネットが普及し始め、いっきに新しいコミュニケーション手段が増えた時期なのです。広告を出して、レスポンスを取り、最終的にコンバージョンさせていく、その手段としてネットを使えるようになってきた時期ですね。それまではダイレクトマーケティングというと、DMでアプローチするとか、そこからFAXやハガキでレスポンスを取るとかだったのが、そこにWebの世界が広がってきたのです。最初に担当したマイクロソフトさんでは、顧客とのワントゥワンコミュニケーションを受け持っていて、エクセルとかパワーポイントとか開発系のソフトウエアとか、ほぼ全商品のアップグレードのプロモーションを担当させていただき、ずいぶんいろんなDMを制作させていただきました。DMってWEBに似ているところがあって、コミュニケーションが平坦ではなくて立体的なのですよね。まず開封させて、説得して、最後に後押しする何かしらオファーをして、コンバージョンさせる、その一連の考え方が、Webが中心の世界に移行しても、まるっと使える感じでした。マイクロソフトさんの後も、ダイレクト畑を歩みまして、クライアントはITと金融関連が多かったです。2000年くらいからはIBMさんを担当しました。PC事業部の実需要を喚起する広告と、刈り取りの施策の部分を担当しまして、新聞広告、オンライン広告、あとは刈り取りのe-Mailマーケティングが常に何本も複数走っている、なかなかタフなお仕事でした。そのあと担当させていただいたのが某No.1ダイレクト損保さんです。

【今江】実はぼくはアデランスで15?16年くらい宣伝をやってまして、電通ワンダーマンさんといっしょに仕事してたのですよ。徳丸さんが入社されるちょっと前ですね。アデランスの場合は、広告も手を入れましたがそれよりも受ける側の問題のほうが大きいと思いまして、コールセンターを立ち上げたりとか、フォローをやったりとか、どういうのをどれくらいどういうスパンで流すとどれくらいリピートが返ってくるとか、いわゆるダイレクトマーケティングですよね、一連の全部をワンダーマンさんと一緒に組み立てたんですよ。ご担当の方にはずいぶん苦労をかけました。ワンダーマンさんから今の会社に転職されたんですか?

【徳丸】うちに入社する前にもう一社外資系広告会社を経験しています。セールス・オンデマンドは創立メンバーを知っていたこともあり、2004年の会社設立のときから、できることはサポートしていました。徐々に売上げも上がって人手も足りなくなってきて、誘ってもらっていまして、その時、ちょうど何本か並行して走っていた仕事がひと段落するいいタイミングがあったので、それをきっかけに2006年の4月に入社しました。

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【今江】何人で立上げたんですか?



【徳丸】立上げたのは木幡社長ともう一人で、二人です。木幡は英語が得意なこともあって、電通では外資系企業の担当をずっとしていました。商品やブランドの日本での展開がうまくいくケースもあればうまくいかないケースもあって、自分たちの知見を活かせばもっとうまくできるのではないかと考えるようになったわけです。戦略の上位工程とマーケティングと流通施策がバラバラではうまくいかないので、それを一気通貫でサービス提供すれば競争力があるのではないかということで立ち上げた会社なのです。


【今江】商品は一番最初からルンバなのですか?

【徳丸】いくつかオポチュニティがあったのですが、実際に実を結んだのがルンバです。ルンバ自体は2002年に生み出された製品なのですが、その頃から木幡がアイロボット社にプロポーザルを出しており、それがきっかけで日本のエリアを任されることになりました。

【今江】総販売代理店ですよね?そうするとマーケティングのソリューションだけを提供するわけじゃなくて、全部ですよね?

【徳丸】もちろんです。ふつう代理店というと商品を流す作業がメインですよね。うちは
本国から見たら子会社にみえるくらい、フルサービスを充実させることを目指しています。カスタマーサポートは当然ですが、日本でも技術部門を立ち上げ、技術センターを作ったりしています。マーケティング、セールスから顧客サポート、日本独自のQA(品質保証)テストもやっていますし、さらにはデータを本国にフィードバックしていて、新しい商品開発に使ってもらい、より日本に適した商品を作ってもらう循環作りをしています。

【今江】ルンバは最初から流通にのせてたんですか?それとも通販ですか?

【徳丸】最初から流通メインです。まずは百貨店さんの開拓からしっかりやろうということではじめました。百貨店さんは富裕層のいいお客さんを抱えていらっしゃるのでまずはそこにリーチしようと。それから量販店さんに拡大していきました。

【今江】通販はやってないのですか?

【徳丸】通販もやってますよ。当時は広告費ゼロでしたから、TV通販会社さんと富裕層向けのカタログ誌は本当に助かりました。

【今江】この前CMを流してましたけど、反応はどうでしたか?

【徳丸】反応はとてもよかったです。総需要の拡大を行いたくテレビCMをうったのですが、やはりテレビは強いですね。

【今江】それはどちらかというと流通対策的な意味合いですか?

【徳丸】流通対策というよりは、認知拡大と理解促進による需要創造です。認知そのものの拡大とPRで積み上げた認知を実需要に変革をもたらすことが狙いです。もうこの商品が一般的な商品なのですよという認識を消費者に与えたかったのです。「まだちょっと先のもの」とか「よくわからない」とか、雑誌とか口コミでは目にしても「まだわたしのものではない」というような感覚を持たれているところがあって、もうテレビCMでもやっている一般的な商品なんだというふうに認識をもってもらうのが狙いだったのです。

【今江】今後やっていきたい展開とかってありますか?

【徳丸】日本人には鉄腕アトムとかガンダムとかが刷り込まれていて、以前は「ロボット掃除機」というとおもちゃのように思われて、うまくいきませんでした。そこで今のシリーズの前の2世代目のモデルのときに名前を変えました。「ロボット掃除機ルンバ」から「自動掃除機ルンバ」に。これは言葉だけだと小さな変化なのですが、ルンバの商品カテゴリーを変えたことになるのです。今までの、まだ世の中にない「家庭用ロボットカテゴリー」から、「家電」の枠に押し込みました。これによってうまくいきました。洗濯機とか食洗機とかと同じ位置づけにしたわけです。それ以前は「おもちゃでしょ?ちゃんと掃除できるの?」っていう反応だったのです。それが、「洗濯はドラム式で乾燥まで自動でやってますよね。食器洗いも自動でやってますよね。じゃあ掃除も自動にしましょう!」て、そういう売り方ができるようになったのです。その次の課題が「本当にきれいになるのか?」という疑念を払拭することでした。ここ数年間は、広告の投下量自体は少ないのですが、いかにルンバがきれいに掃除をするかといった機能的な訴求をずっとしてきました。おかげさまで、以前は、部屋全体を走行してくれるのはわかったけど、ちゃんときれいになるの?吸引仕事率ってどれくらい?とかって聞かれていましたけど、そういった質問は少なくなりました。ですので、次のステージとして、ルンバが自分の家にきたら生活がどう変わるのか、をイメージしてもらえるような、もう一歩進んだコミュニケーションの表現をやっていこうと考えています。

【今江】こちらはPRが上手っていうか、商品がいいせいもあると思うのですが…

【徳丸】メディアの方にうまく取り上げていただいているとは思いますが、やはり商品力があるからですよ。今回100人モニターというのをやりまして、モニター募集のプレスリリースを出したくらいでほとんど告知はしなかったのですが、1万2千人の応募をいただきました。今ちょうど、100人の方にレポートを書いていただいているところです。いろんな住環境の方がいるので、自分に近い人のレポートで疑似体験をして、納得していただけたらありがたいですね。

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【今江】お試し制度とかあるといいですよね。1週間使ってよかったら購入するとか。かなり愛着がわく製品だと思うので、返品少ないと思うんですよね。

【徳丸】愛着って意味では普通の製品以上ですね。ちょこちょこ動いて働いてくれるので今までにない感覚を覚えるみたいで、名前をつけたり、ペットのような感覚になるようです。うちの社内では伝説になっている話があるのですよ。昔、まだオフィスが小さかったころ、寒い冬の夕方におばあさんが突然現れて、何かを毛布にくるんでもっているんです。包まれていたのはルンバで、壊れたから直してくださいっておっしゃるのです。わざわざ来ていただいているので、すぐに商品を交換しますって言ったら、「交換じゃだめなんです。この子を直してください」って。それくらい愛着がわいちゃう商品なんですね。

【今江】いやあ、いいお話を聞かせていただきました。どうもありがとうございました。

【満木の感想】
実にみごとなマーケティング戦略ですね。きっちりのっかっている自分にびっくりです(笑)。お話を伺っていよいよ欲しくなってしまいました。掃除が趣味の今江も「ほしいなーほしいなー」とインタビュー中にぶつぶつ言ってました。早く買っちゃえばいいのに。で、お下がりをわたしに。。。